ロバート・J・ソウヤーの「ターミナル・エクスペリメント」と「イリーガル・エイリアン」を読んだ。
会社の先輩に何か良いSF作家はいないですかと聞いたら、カナダのSF作家ソウヤーの名前を教えてくれたので、2冊読んでみた。少しずつSF小説を開拓している。
小説はある程度読んでみないと面白さがわからないし、個人的にも好き嫌いが激しいので手を出すのが億劫だが、ソウヤーは結構ヒットだと思う。
■「ターミナル・エクスペリメント」
医療検査機器のエンジニアであるピーターは、臨死の床にある患者から脳外へ抜け出ていく微弱な電流を捉える。「魂波(ソウルウェーブ)」と名づけるが、人間の霊魂の発見としてこのことが世界に大きな影響を与える。というのが冒頭。
ある種の科学的ブレイクスルーが世界や人々のモラルや常識に影響を与えていく過程を描くというハナシは好きだ。(バクスター「過ぎ去りし日々の光」や星新一etc)
しかし、この小説の面白いところは意外な捻りを加えてくる所。前半の魂波をめぐる騒動を前提を踏まえたうえで、後半は主人公の脳をスキャンした3体のデジタルコピーが起こした殺人事件を追ってミステリーが展開する。
ジャンルが違う小説を続けて読まされただけで、いきなりミステリーが始まっていいんじゃないのとも思うけど、意表を突かれた嬉しさと哲学的な結論への前提になっている。
小説の舞台がキリスト教世界だからなのか、天国とか死後の世界、それに絡めて神の存在などと大騒ぎになったりするが、もし現実に「魂波」が発見されたとして、どのようなことが起こるのだろうかと想像を膨らませてみたくなる。死後の世界の実在が証明されないのであれば、僕は細胞やDNAが発見された時とたいして変わらないんじゃないかと思う。そんなに大騒ぎにはならないのかも。最近は冷めちゃってます。
■「イリーガル・エイリアン」
「トソク族」というエイリアンが地球にやって来た。人類は彼らを好意的に迎え、史上初のファーストコンタクトをは友好的に進んでいた。しかし、トソク族と親しかった人間が死体で発見され、なんとエイリアンの訪問者の一人が容疑者として逮捕されてしまう。カリフォルニア州対エイリアンという前代未聞の裁判になってしまう。
まさに俺好みな冒頭。SFを裁判ミステリーにしてしまう馬鹿馬鹿しさ。肝心の裁判シーンはしっかりと取材してあり、日本でも始まる裁判員制度の入門にぴったりかも。
思考の読めない相手に検事側も弁護側も戸惑うと言うのは裁判モノでよくある手法だと思うが、それが宇宙人と言うことで文化が全然違うとか、戦争になってしまわないだろうかとか、普通の法廷モノにはないタイプの緊張感と謎が付加されている。
ソウヤー読んでみて、「魂を観測」「宇宙人が裁判に」などとアイデアだけ聞くととびぬけてて、俺好みの「見てー!」と言う感じで掴みはOK→頭でっかちにならない適度に映画的な展開が続き、テクノロジー的にもサスペンス的にも続きが気になる→そしてジャンルを飛び越えてしまうような転換でまた驚かされる。と、よく出来てるなァ思った。
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