2008年7月22日

魔法にかけられて Enchanted

物好きな僕の大好物、アニメ+実写ということで気になっていた、ディズニーの「魔法にかけられて」のブルーレイを借りてきた。

期待していたように実写の中でアニメキャラクターが動き回るというものではなかった。しかしディズニーは「アリスコメディー」をはじめ「メリーポピンズ」「三人の騎士」など、かなり早い時期からアニメと実写の合成をやっていたので、もし今回そうだったとしても別に新しくもなんともないのである。

むしろ、おとぎ話というかディズニープリンセスの世界観から出てきた「いつまでも幸せに暮らしました」をあたり前だと思っていた登場人物が、現実の世界との愛のあり方や人々の性格の違いにカルチャーショックを受けるという、画だけでなく概念でのギャップが面白い。

 

ディスニー社は、残念ながらすでにセルアニメーションの部門を無くしているらしく、十数分のアニメパートは外注というはなしだが、やはりディズニーがらみのアニメーターの実力はすごい!

動きの滑らかさなどでは、前日にみた「ポニョ」すら凌駕しているように思えた。デザインなども相当にしっかり作られているが、かといって単純に日本で受けないのが面白いところ。

どちらが勝っているということではないが、これはただの好みの問題なんだろうか?

ちなみに、メニュー画面やおまけゲームがやたらと凝っています。ゲームにはセーブ機能まで付いている。ディズニーのDVDは元々サービス精神旺盛でしたが、他社でもブルーレイのソフトは総じてメイキングなどが充実しています。メニューの解像度も上がり、これからのオーサリングは無駄にお金がかかるんだろうな…。

しかし、時代の流れに逆行するかのように、僕の所有するブルーレイ版「銀河ヒッチハイク・ガイド」はなぜかコメンタリーが入ってませんでしたが。DVD版には入っているのに。ふざけるな。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008年7月21日

崖の上のポニョ

できたばかりのフロアにポップコーンの香りすらもなにやらすがすがしい新宿ピカデリー。家族連れ、恋人連れ、友達連れ、そんな客層のなかで単身の客がひとり。それは僕。

はい、さっそく見てきました。「崖の上のポニョ」。

 

封切られたばかりなので、詳しいことを書くと怒る人がいるかもしれないので、あまり踏み込めないですが…まあ、好き勝手に書きます。

もののけ姫以降の最近の宮崎作品の、理屈っぽい内容をむりやりファンタジーでねじ伏せようとしてねじ伏せ切れていない感じが好きなので僕は結構楽しめました。
意外にもかなり科学モノな内容。、SF的だと感じなくてもいいように作られてはいましたが、おかげでかえって知識がないと納得しにくい描写もあり、試写で子供の反応が悪かったという話もチョットうなずけます。

しかし、いままでのSF映画に海洋ネタで傑作と言えるものがあまりなかったので、大人がそういうつもりで見ればかなり新鮮です。これはおとぎ話の皮をかぶったというか、理屈っぽくなりすぎる部分をファンタジーで隠したSFなのです。

 

以下いろいろと思うたこと。

■ポニョが人間と魚の中間の状態のとき、蛙のような姿、顔つき。今は魚類から哺乳類の進化の中間だから両生類の状態だという意味だろう。いやいや、魚の時の方が人間っぽい顔してなかった?とにかくいちいちこういうアイデアが科学的すぎるので、小さい子には意味がわからないかもしれない。でも後で親が補足してやるとすごく勉強になりそうなので良いこと。こういう知識はいつまでも忘れない。僕も映画版ドラえもんで学んだの知識は良く覚えている。

■CGを使わないと言っていたが、別に今までもそんな使ってなかったし、これは変な言い回しだ。明らかにデジタルでないと不可能な撮影もあったし、ストレートな意味ではなく、「海」とか「グニャグニャなもの」を全部手で書きましたと言う意味なのだと思う。

気になったのはキャラクタライズされていない背景的に細かく動くプランクトン。これがCGでなく手で書いたとすればすごいリアル感。もしかして実写だったの?どう転んでもこれは面白い。

■舞台は瀬戸内海と言われているようですが、その通りだなと思ったのは、主人公の母親が運転する車がやたらとスピード出すというところ。僕の地元では、みんな飛ばします。海沿いの先が見えないカーブをなぜか飛ばすんです。それでもほとんどの人は警察に捕まったこともないしトラブルもあまりありません。

■ほとんどフルアニメーションっていうぐらいによく動きます。

■ポニョのお父さん(フジモト)がなかなかいかしてます。冒頭でハウルのようなシルエットだったので美形キャラなのかと思いや、顔を見ると忌野清志郎的なビジュアルです。今回でいちばん好きなキャラクター。結構面白そうな部分をほのめかすだけほのめかして正体不明のまま終わったので、消化不良でもあり、かえってその謎さが魅力的だった。

どこかでフジモトのスピンオフが見たい。

■主人公が親を名前で呼ぶ。アニメでは微妙な年齢はわからないので、お姉さんなのかお母さんなのかなかなか判断できなくて、まぎらわしいなと思った。幼児を一人前に扱っているというとかそういう意味なのだろうけど、ストーリー自体もそんな内容で、これはなんか妙な感じ。今までも宮崎作品に登場するの子供達は自立していたが、5才で自立はやっぱおかしい。

このへんも含めて、子供が共感しにくかったのかもしれない。

それにしても、いつも親が理解ありすぎる。トトロを見たと言っても素直に信じるさつきとメイのお父さん、腐海を研究していたナウシカを別に怒らない王様、自分自身がラピュタを探しに行っちゃうようなパズーのお父さん…。

一方理解のない親ややたらと干渉してくる親には厳しい。千尋の両親は豚にされたし、娘に厳しかったモロは殺された。なんだこれは。

そして
■アニメーションのアイデアが満載で「ゲド戦記」と比べてベテランの格の違いを見せつけたという感じ。

他人の親子関係にケチをつけるのは気が引けますが、ファンとしては意地を張らずに息子の映画の時も手伝ってくださいよと思うのだが…。この突き放した感じこそが、宮崎監督の考える親子関係なのかもしれない。だとすれば今回の「ポニョ」にもその感覚が見受けられる。

 

個人的な結論としては、面白かったです。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008年7月20日

ガタカ Gattaca

「ガタカ」(1997)

イーサン・ホーク/ジュード・ロウ/ユマ・サーマン

なんかタイトルが妙な感じで内容が想像しにくい、ともすればホラーっぽい気もするが別にそういう要素はなくまさに純然たるSF。「ガタカ(Gattaca)」とは舞台になる架空の施設の名前で、DNAを構成する4種の構成物質を表すG・A・T・Cのアナグラムになっているという頭の良さ。

この世に生を受けた時、厳密に言うと受精卵の時点で、遺伝子情報から能力、性格、病気の可能性を読み取り、「劣っている」と判断された者は就職をはじめその後の人生を差別と共に生きていかねばならないという、「そう遠くない未来」。その不適正者でありながら、最高のエリートである宇宙飛行士を夢見て他人として遺伝子を偽装し続ける青年の物語。

SF映画の決定版スタイルともいえる、限定的な環境を舞台にしながら科学と人間の尊厳をテーマにしたサスペンス。SFというジャンルには、科学的発想の驚きや面白さとは別に、社会の問題点を誇張し訴えるという役割がある。この映画はそういう意味で、本当によく出来た映画です。

不適正者と言われた者は努力する機会すら与えられない。世界にかつて蔓延していた差別は人種など根拠なき根拠をその言い訳にしていたが、この時代ではすべてがあらかじめ決められた能力値で判断され、その判断は科学的な根拠に基づいているので、絶対に覆すことができない。これは怖い。

解消されることは未来永劫ないと思えるほど完ぺきな差別。

それでも、星空へ夢をかなえるべく、たったひとりで、圧倒的で強大な世界に反抗する主人公を応援したくなる。最終的に、他人の何百倍も努力して遂には達成する。教訓に満ちた良い話だ。

どこにでもマイノリティがいて、凡と我という意味では誰しもが個々の悩みを抱えたマイノリティであり、自分らしく生きるということは、己を除くすべての世界への反抗なのかもしれない。

 

その先で、自分も相手も各々が別々の悩みを抱えている、要するに「違う」と知った時に、初めて私とあなたは「同じ」なんだとわかりあえる。それがこの映画のもうひとつの結論なのでは。

Gattaca

イーサン・ホークとジュード・ロウの二人の魅力的なイケメンのおかげで、男同士の友情好きの人も楽しめる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«島本2作品最終回